2017.08.07
日本電信電話株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:鵜浦 博夫、以下「NTT」)、株式会社イーオン(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:三宅 義和、以下「イーオン」)、国立大学法人東京大学(本部:東京都文京区、総長:五神 真、以下「東京大学」)は、イーオンの協力を得て開発したNTTの日本人英語音声認識技術、および東京大学とNTTによる新たな音声・言語メディア処理技術の共同研究の成果と、イーオンの有する英語語学教育に関するノウハウ・リソースなどを組み合わせることにより、新たな次世代の英会話語学教育をめざし、共同実験を行います。
1.共同実験の背景と目的
社会の急速なグローバル化の進展により、外国語、特に国際共通語である英語の学習の重要性は一層増しています。これを受けて、英語の「聞く(Listening)」「読む(Reading)」「書く(Writing)」「話す(Speaking)」の4技能を習得する必要性が高まっています。
特に「話す(Speaking)」学習については、現状の英語学習において最も必要でありながら学習量が不足しており、ICTでの高度化による学習効果の向上が望まれている分野です。話した英語を文字にする音声認識技術をはじめとした音声・言語メディア技術による試みが多くなされていますが、「日本人英語」1とも称される日本人の話す英語はネイティブスピーカーとは異なる特有の発音が多いこともあり、非常に高度な技術が求められています。
このたび、NTTのAI技術「corevo®」2であり世界最高精度を達成したNTTの音声認識エンジン 3をベースに、イーオンの協力によって日本人英語に特化した音声認識技術を開発しました。本技術の、日本人話者が発する英語に対する認識率の大幅な向上可能性を確認いたしました。
今後、イーオンの協力により日本人英語に特化した音声認識エンジンのさらなる精度向上を進め、実験サービスを実現可能な認識精度にまで向上させることとなりました。各国の母語の特徴がある英語が国際舞台で話される時代において日本人が国際舞台で活躍するために、母語の影響があっても英語でのコミュニケーションに支障のないレベルに引き上げた上で更なる向上を期待するものです。特に「話す(Speaking)」学習に対して本エンジンを適用し、イーオンの保有する英語語学教育に関するカリキュラム・メソッド・教材などを組み合わせた新たな学習方法を、実際に通学しているイーオン生に今年秋頃から体験いただきます。
さらに、NTT、イーオン、東京大学の三者は、東京大学とNTTが共同研究を進めている新たな音声・言語メディア処理技術の、次世代の英語語学教育における活用方法について、共同検討を実施いたします。
2.NTT、イーオン、東京大学による共同実験について
共同実験期間:2017年8月~2018年3月(予定)
共同実験内容:
(1) NTTとイーオンによる、日本人英語音声認識技術を用いた新たな学習方法の実験的サービスの提供
・イーオンの協力の下、日本人英語音声認識技術のさらなる精度向上を行う。
・日本人英語音声認識技術を用いた新たな英語語学学習方法として、以下の2つの実験的なサービスを用意し、実際に通学しているイーオン生などに体験いただく。
①Speakingトレーニング
語学試験等で対面にて行われる、問いに対して自由文で回答する形式の設問を想定し、話した回答の内容を文字にして評価するeラーニングコンテンツ
②インタラクティブ英会話
海外でのレストランなど、英語を使う必要のあるシチュエーションを高臨場感(VR)環境で再現し、話した回答の内容によってシナリオが変わる、より臨場感の高い実体験コンテンツ
(2) NTT、イーオン、東京大学による、学習者支援フィードバック技術を用いた新たな学習方法の検討
・東京大学とNTTで共同研究を実施している学習者支援フィードバック技術について、語学教育の観点から検証を行う。
参考:東京大学とNTTによる共同研究について
共同研究期間:2017年5月~2018年3月
共同研究者:東京大学大学院 工学系研究科 電気系工学専攻 峯松 信明 教授
共同研究内容:
語学学習サービスの実現に向け、日本人英語音声認識技術等のNTTの保有するメディア処理技術と、東京大学の長年に渡る語学学習支援に関する研究から得られた知見を組み合わせる事で、学習者支援フィードバック技術の確立をめざす。
3.今後の展開
NTT、イーオン、東京大学の三者は、本共同実験の取り組みを通して、英語語学教育における高度なICT技術と教育理論を組み合わせた学習効果の高い学習方法の開発・検証を進めることにより、社会のグローバル化に対応する次世代の英語語学教育への貢献をめざします。
1「日本人英語」は、母語である日本語の影響を受けながらも、英語でのコミュニケーションに支障のないレベルを想定しています。いわゆる、カタカナ英語など日本人が発話した英語なら何でも認識できるということではありません。
2「corevo®」は日本電信電話株式会社の商標です。
3 2015年に実施された技術評価国際イベントCHiME-3(The 3rd CHiME Speech Separation and Recognition Challenge)で、参加25機関中トップの精度を達成しました。